思想

 サンダース大佐の憂鬱

先日の道頓堀川での上半身の発見に続き、下半身も発見されたカーネル・サンダース。一時は、これを綺麗に塗り替えるなどという途方もなく愚かな提案もあったようだが、KFCサイドの意見もあり20年以上の歳月を経て生み出された素晴らしい質感を活かす方向で保…

 『文學界』 絶えざる移動としての批評

柄谷行人、浅田彰、岡崎乾二郎、大澤真幸による柄谷の思想を中心としたシンポジウム。NAMの総括もやっているが、柄谷によると自分が海外にいることが多くメーリングリストに依存しすぎて会員同士が実際に会う機会が少なかったのが失敗の第一原因だという。そ…

 宇多田ヒカル 『誰かの願いが叶うころ』

この曲については、まず第一にメロディーに大きな力があることを言わなければならない。オクターブを上下するような激しい動きのメロディーラインが、細部を切断しつつ全体を繋ぎ合わせるという不思議な構造を可能にしている。伴奏のピアノがこの繊細なメロ…

 『現代思想』 柄谷行人インタビュー

上部構造というかわりに、いろんな言い方がありますね。「共同幻想」とか「想像の共同体」とか「表象」とか。一般に、上部構造を重視する人たちはかつての経済的決定論に反撥したからでしょう。しかし、そういう見方は「経済的下部構造」が何か実体的なもの…

 嶽本野ばら(原作) 中島哲也(監督・脚本) 『下妻物語』

この映画はあらゆる意味で面白かったが、単純に笑えて楽しめるという点だけをとっても庵野秀明の『キューティーハニー』など全く比較にならないくらい良くできている。どんなにバカバカしい作品でも作り手が真剣になっていなければ見る側は楽しめないが、『…

 Winny問題の本質

福田和也が言うように、ハイデガーが20世紀的問題を考える際に複製芸術の問題が大きかったわけで、複製技術によってシミュラクル商品が回っている中で固有性とか本来性みたいなものをどう獲得するかという問題が、存在者と存在の差異みたいなことに関わって…

 GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE 『岡崎乾二郎の新作絵画展』

柄谷行人 『Transcritique』 道徳的領域はそれ自体で存在するのではない。われわれは物事を判断するとき、認識的(真か偽か)、道徳的(善か悪か)、そして、美的(快か不快か)という、少なくとも、三つの判断を同時にもつ。それらは混じり合っていて、截然…

 宇多田ヒカル 『COLORS』

吉本隆明 『共同幻想論』 わたしのかんがえでは<巫女>は、共同幻想をじぶんの対なる幻想の対象にできるものを意味している。いいかえれば村落の共同幻想が、巫女にとっては<性>的な対象なのだ。巫女にとって<性>行為の対象は、共同幻想が凝集された象…

 否定神学としてのNo.19 あるいは、伝統化するポストモダン

東浩紀が自らの立場を「ゆうゆ原理主義」と称しているが、それについて述べておきたい。 その前に、というかこれが本題に直結するのだが、私は「ゆうゆ原理主義」という言葉を使ったことはない。それは当然のことであって「ゆうゆ原理主義」というのは原理的…

 仏教の思想と西洋の思想

空海の即身成仏論と華厳思想、カントの哲学とラカンの三界、吉本の共同幻想論の関係図 ▼ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄▼ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄▼ 縁起 性起 《アンチノミー》 ●即身成仏論● (本)体 | (様)相 | (作)用 六大 | 四曼 | 三密 | 金剛界《》胎蔵界 | | …